『夜泛西湖(夜、西湖に浮かぶ) 五絶』には 五つの絶句(起承転結の句で成立する詩)が収められています。 上の詩は四首目で、 明け方の西湖を詠っています。 (ちなみに一首から三首までは、夜〜明け方前です) 「菰(まこも)や蒲(がま)が辺り一面に広がり、 水は果てしなく広がっている。 荷花(蓮=はす)は夜開いて、風も露も香しい。 ((昨夜は))やっとの思いで燈明(湖光)が遠寺から出ていく所を見たのだが、 さらに今度は、月が暗くなる夜を待って、湖光を見てみよう。」 湖光とは、西湖に夜浮かび上がって来る、 不思議な光(燈明)の事です。 西湖にある寺の前から現れて、 施食亭(レストラン?宿屋?)から南へ向かい、 西冷橋まで行ってから、お寺の方へ 引き返す、のだそうです。 蘇軾はその怪奇現象がお気に入りの様子。 ※漸く(ようやく)は漢詩訳だと「次第に、だんだんと」 という意味が主流なのですが、近藤氏の注釈にて “漸見=漸は水が浸(し)むこと。久しい時間の蓄積ののちに見る” 他にも蘇軾の詩には「漸く看る 遠水〜」や「漸く見る 桐に孫」などあり、 その場合「次第に、だんだんと」という訳では、少々違和感があるかと。 心情を汲むと日本語の「ようやく」や「やっと」に近くなるのでは |