『小椋佳Ⅱ』
■思い込みＰＡＲＴⅠ
爽やかな曲です。
アルバムのトップに相応しい曲です。
ここで何故、一枚目のアルバムのトップに
あの「しおさいの詩」を持ってきたのか
という謎が生まれますが、
それは編集者の気まぐれではなく、しおさいの詩が
小椋佳のデビュー曲だからです。
思い込みⅠは美しい曲ですが、ただそれだけ
という印象もあります。
■かなうなら夢のままで
水商売の女性に恋をしてしまった男の戸惑いを歌った曲です。
大変素晴らしい曲だと思います。
火曜サスペンス劇場のＯＰ曲にしたいくらいです。
個人的に「昼も夜も 浮かぶ姿は 逆光線」
この“逆光線”という言葉が、
そこだけ歌の中でやたら浮いているので好きです。
■ふりむけば愛
歌い出しは静かな曲ですが、徐々に熱くなってくる、
私の好きなヒートアップする曲です。
「想い出にするだけの価値もない」→「アルバムを焼き捨てよう」→「愛はどこ」
“愛はどこ”まで来るとかなり熱くなっています。
しかしその言葉に続く「ふりむけば 君」で、その熱さは
鎮火されます。見事です。
曲の終わりの伴奏部分が、しつこくエンドレスされる事だけが悔やまれます。
■道草
曲の展開が静→動へと変わるという、
「ふりむけば愛」と似た感じの歌と言えるかもしれません。
“愛はどこ”まで情熱的にはならないのですが、
この曲は、とても良いです。
小椋佳のスタンダードな歌声が披露されていると思います。
歌い方の強弱のつけ方が、一番小椋らしいと思うのです。
一番の「実りのない日々のからまわり」や
二番の「果てのない深さの極みに」など、
歌の暗さに重みを感じる部分も魅力的だと思います。
■盆がえり
これも小椋佳らしく静かな歌い出しで始まりますが、
徐々にダイナミックな曲へと登りつめます。クラッシック楽器がいっそう
曲を盛り上げます。壮大な感じが映画音楽を思い出させます。
「汽車」という言葉が一番二番三番と登場するので、
銀河鉄道９９９がまた映画化される時は是非、この「盆がえり」を
採用して欲しいです。
個人的には曲の終盤に出てくる「せせらぎに素足で水をはねた」という
箇所が好きです。これもまた歌の中でそこだけ浮いている部分なんですが、
曲の最高潮（ピーク）時とかぶっているせいか、
とても美しく感じます。
■シクラメンのかほり
名曲です。
なので下手にコメントしたくない歌です。
小椋佳の歌詞は、基本的に日本語が美しいと思うのですが、
この曲はその最たるものだと思います。まさに詩人です。
曲の構成だけ追ってみると、
♪真綿色したシクラメン～→静…恋のはじまりの予感
♪うす紅色したシクラメン→静…恋の展開
♪たわむれを知らない子供のように～→動…「静」の部分は回想だったようです。彼の今の本音、
つまり、「シクラメンの人がいた時代への回帰願望」
この歌の中で最も強調したいと思われる部分です。
♪うす紫のシクラメン～ →静…恋のてん末
♪たわむれを知らない子供のように～→動…やはり、一度目よりさらに強く歌っていると思います。
静かで優しい小椋佳の歌声と、男らしい小椋佳の叫びが堪能できる曲となっています。
■坂道
思わず笑ってしまう曲です。（実は井上陽水が作曲してます）
ラテン系の音楽なので、許しましょう。
♪誰かが登り坂といい
誰かが下り坂という
僕にはどちらかわからない
僕にはわからない
・・・どっちだってどうでもよいです。
■野ざらしの駐車場
幻の名曲です。
美しすぎます。
なのに、何故、「駐車場」なのかが不明です。
変わり果てた故郷の姿に（つまり野ざらしの駐車場が出来ていた）小椋佳が怒った曲だと
そう、思われるのですが、いかんせん、怒りよりも美しさが先に出てしまっています。
ひたすら謎です。
悲恋の歌詞に置き換えてリメイクして欲しいです。
■飛べない蝙蝠
恐ろしいくらい静かで暗い曲です。
虚無感をここまで美しく歌った曲は他に無いと思います。
■時
「道草」といい、曲名が渋すぎます。
はじめからテンポ良く曲が進んでいきます。
そして私の最も好きな歌詞
♪時に長さがあるなんて 誰が告げたのですか
が、近づくと「（来た来た、キターーー！）」
と、思わず拳を握ってしまう曲です。
■渡良瀬を行けば
α波が出まくる曲です。
正直眠いです。
曲の後半、いきなり琵琶法師の語りが入ってきてびっくりします。
■残された憧憬
単調な曲です。
山場は、どこっ？（「愛はどこ？」調で。『ふりむけば愛』より）
■花化粧
小椋佳の声が伴奏に負けてる珍しい曲です。
クラッシック楽器がきつすぎる所為かと。
■めまい
淡い曲を歌う小椋佳にしては、珍しく色のコントラストがはっきりした曲だと思います。
♪鏡に残ったあなたの後ろ姿 青い青い海が見える
♪さようならを描こうとした口紅が 折れてはじけた
色のコントラストははっきりしてますが、曲はやはり儚い感じです。
■思い込みＰＡＲＴⅡ
思い込みＰＡＲＴⅠの歌詞が変わっただけの曲です。
しかも演奏時間が長く、歌詞はパートⅠより難解になっています。
だからとても眠いです。
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