ローマ人の物語V〜勝者の混迷〜』(スッラメモ)

58歳のスッラが35歳年下の女性に競技場でナンパされる。
彼女は見物席に座っているスッラの後ろを通り過ぎるとき、さっと彼の肩に手を触れ、
長衣(トーガ)から糸切れを抜き取ってそのまま去った。
さすがのスッラもその女の振る舞いに驚き彼女を見つめた(らしい)。
「おかしな振る舞いとお思いになってはいけませんわ。
わたくしだって、あなたが恵まれつづけた幸運に、ほんの少しでもあやかりたいと願ってやった事ですもの」
スッラは再婚だったと思うけど、この女性と結婚してたと思います。すげー

スッラは「幸運な男(フェリックス)」というあだ名を自らつけた割には実力がありすぎたような気もしますが。
何にせよ、スッラはカエサルが出る舞台のお膳立て?をしてくれた役者でした。
カエサルが若い頃不遇だった原因がスッラだっていう話。


塩野さんはかなりのスッラ贔屓。
残っている彼の肖像を見てみると、痩せぎすで冷酷な独裁者っていうイメージを受けるけど、
実は背が高くて男前だったとか!(見てきたのかよう)
お陰で私もすっかりスッラファンになりました。
遠征中にローマ国内で混乱があっても、
「取り合えずこの遠征を“さっさと”終らせてから」ローマに帰ってきたスッラ。
返す刀でそのままローマを軍事制圧して無理矢理混乱収拾しました。かっこいい!
クーデターじゃないの。
権力を握った彼はその次に国内の反対派を一斉粛清。血の粛清でした。
密告とかブラックリストとか。生首がローマの街に並んでたとか。怖!
カエサルの一族は、反スッラ派だった為、若きカエサルは国外亡命を余儀なく・・・って、
遊んでいたイメージがあるのは何故。
確か海外留学してたような、外国巡りしてたような(うろおぼえ)。
結局スッラが死ぬまでローマに帰れなかったのではなかったかしら(うろおぼえ)。


以下、日記より抜粋。

湖涼 2005/9/28 (Wed.) 01:44:22
ローマ人の物語V〜勝者の混迷〜』、を読破しました。
ちんたら読んでいたのでけっこうな時間がかかりました。暇人なのに…
第三次ポエニ戦役を終えてから、ローマでは失業者が増えて、それをどう対処していくか、
またローマの領土が大幅に増えた事で、
共和制(元老院主導)が働きにくくなっていく様が描かれています。
共和制が駄目になったら「カ」のつく人が出てくるのでしょうか。

ざっくばらんに
第一章はグラックス兄弟。
余りにも先を行き過ぎた改革法案(ローマ市民権をローマ領土にいる人たちに与える法案とか)は、
平和時の人々に受け入れられず、二人とも道半ばに殺されてしまう。
しかしその法案は後々のローマまで引き継がれていく。塩野さんは「道標」と言ってました。

第二章はマリウスとスッラ。
この章の構図を俯瞰するまで時間がかかりました。情勢が二転三転するので。
よーするに民衆派(平民代表護民官)vs保守派(元老院)の戦いだったんですね。
最終的にスッラが勝利して元老院の権力は強まるのですが、スッラ体制の崩壊は皮肉にも、
彼の優秀な後継者から生まれる事になるという。ドラマ!

第三章は、その優秀な後継者ポンペイウス。「ザ・グレート」という字(あざな)を持つ。
彼のオリエント遠征で東地中海はおろか黒海までローマの覇権が広がる。
共和制は突出した存在を許してはいけないのに、その存在に頼らざるを得なくなってしまう。
帝国主義の道のりがここに…。ただ塩野さんのポンペイウスの描写が妙に淡白な気がしたのは、
その後に彼女の愛するカエサルが控えているせいなのでしょうか、
と、ちょっと勘ぐりたくなってしまいます。まあ私もあんまりポンペ好きじゃないな。グレートすぎてつまんない。


ポンペイウス、クラッススと三頭政治の役者2名が活躍しているのに、カエサルは一体何をしているんでしょうね、
女でもたらしこんでいるのでしょうか。
次の巻はたぶんカエサルのガリア戦記なので(中世の源流だよ!)すごい楽しみです。あこりゃこりゃ。



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