桂紅雀 独演会へ行って来ました
その2

お次は、紅雀さんの兄貴分、
桂こごろうさん。「強情灸」。
(兄弟弟子だと思っていたのですが、
師匠が違うみたいですね(^^;))

こごろうさんは、
演題に入る前、紅雀さんについて、
熱く語っていました。
こいつはおもろい男です!」、と。
その他のエピソードも驚きの連続で、
本当にごちそうさまでした。
二人の仲が良すぎて…。


強情灸」は、短いお話です。
その分、みっちり詰まって、濃いですね。

とある男がお灸を据えに行きました。
そこは、繁盛してて、
中には年頃の女性も並んでいます。
その女性、
お灸が怖くなったのか、
やってきた男に順番を譲るんですね。
男は、ちょっと、
ここで格好良いところ見せたれ、
と張り切るわけです。
36個一気に火をつけてくれ!
と。
「それは余りに危険だし、
体に悪いから止めなさい。
・・・って医者が言うと思ったんだよなあ。
男は、
既に物凄い痛い目に遭って、
友人に愚痴を零しています。

男「36個の灸を据えられた俺の姿を見て、
あの娘が、
『何て素敵なお方なんでしょう。
一生を共にするなら、あんなお方と、
一苦労も二苦労もしてみたいわ』」
友人「って言ったのかい」
男「・・・って絶対思ってると思うんだよな
そんな顔してたぜ」

自業自得の痛い目に遭った、
(なのに)のろける男に、
友人はむかっ腹が立ち、
男が持っていたモグサを引ったくり、
自分の腕へ山のように盛り付けます。

友人「36個が何だ。
それぐらいでギャアギャア言いやがって。
石川五右衛門はな、煮えた油の釜の中でも、
平気な顔してたんだ。
俺だって、見てろ」

男が止めるのも聞かず、
友人は山盛りのモグサへ点火。
はじめは涼しい顔をしていた友人も、
その内、ろれつが回らない程、
熱々に。
(その時の顔芸が凄い!)
あっつーーーーーーッ
とうとう、堪えきれなくなり、
落ちの一言。

徐々に腕が熱くなっていく様子を、
顔で表現できる、というのが凄いですね。
男の、
○○と、医者が言ってくれると思ってた、
とか、
○○と絶対思っているはずだ、あの顔は。
という、引きは、
○○の台詞を長くする事によって、
かなり、大きな笑いへ転じるんですね。
それを聞いている間は、
本当にそんな台詞があったように、
と思わせてくれるので。
これも、こごろう兄さんのオリジナル?
(仲間内でギャグの貸し借りをしているようなので…)。


お次は、紅雀さんの「七度狐」。
実は、今年の4月に1度見ているので、
比べることが出来ました!
4月より、パワーアップしている所が、
凄いと思いました。

七度狐という化け狐に、
旅人が何度も化かされる話。
見えない河を旅人二人で、
滑稽な格好で渡る場面が、
前よりもずっと面白かったです。(^^)

七度狐が旅人を騙すには訳があり…
旅人がたまたま投げた石に額を割られたから、
というのが今回のお話。
別バージョンでは、旅人が“盗んだ小鉢”を捨てた所、
狐に当たった、という事になっています。


中入り後、最後の演目は、
紅雀さんの「くしゃみ講釈」。

以前、桂米二さんの「くしゃみ講釈」を、
見ていたので、
これも楽しく比べる事ができました。

内容は、
デートの現場をめちゃくちゃに
された男が、その仕返しに行く、という話。

この主人公、
もの凄く忘れっぽくて、
認知症の類の病気じゃないのか、
と、米二さんの時は思ったのですが、
紅雀さんの話では、
この酷い物忘れが、随分板について
いたように思います。
生まれつき物忘れが酷い、という
フォローもあった所為か、
こちらの方が自然と笑えましたね。

ただ、講談師が話すところ、
歴史物語を長く講釈する場面は、
米二さんの方が、迫力があったかなと、
思います。矢張り貫禄が


新聞で、桂南光さんが、
「くしゃみ講釈」は紅雀さんに
向いているんじゃないか、と云う
言葉があったんです。
南光さん…
あなたの見る目は確かでした!

おっちょこちょいや、お調子者の役が、
紅雀さんが話すと生き生きするんですね。
これからも、
もっと頑張って欲しいです。


独演会が終わった後、
ロビーで紅雀さん、お客さんを
お見送りしてました…。
ああ、
私もカメラを持って行けば良かった、
と思ったのですが、
ご本人、超汗まみれ。
そんな中、
写真撮影に応じる姿は、
眩しかったです。


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