『小椋佳T』

■しおさいの詩

しおさ〜いの はま〜の〜 岩かげに立ってえ〜
しおさ〜いの すな〜に〜 以下省略

とにかくとてもスローな曲です。
内容もたいへん暗いです。
この曲を聞き流す事ができれば、小椋佳を八割方攻略したのも同然です。

聴いている内に、だんだんと
だんだんと小椋佳のワールドに引き込まれます。
気がつくと
「恋でもいい なんでもいい
    他の全てを捨てられる 激しいものが 欲しかった」
この部分で
思いっきり感情移入してしまう自分がいるはずです。

とりあえず、はじめは聞き流す事を心がけて下さい。
私たちはテンポの速い曲に慣れすぎているのです。


■砂漠の少年

少年が親からの独立を決意して、東京砂漠で野垂れ死ぬ話です。
小椋佳の歌詞の特徴は、たいへん抽象的であることなんですが、
人によって、曲の捉え方が変化すると思います。
この曲は起承転結のあるストーリー仕立ての歌詞となっていますが、
バットエンドなので、(これも主観的な見方ですが)
私は一行目のように感じました。
しかし、ストーリー仕立ての曲は、小椋佳、たいへんドラマチックに歌ってくれます。
惚れます。


■春の雨はやさしいはずなのに

鬱の歌です。
「どうってことないんかな  どうってこと ないんかな」
へこんでいる時に聴くと、かえって癒されます。
世の中がどうでもよくなってきます。
(ますます鬱になっているのでは)


■六月の雨

小椋佳は雨が好きです。鬱になります。
(余談ですが汽車も好きです。こちらは躁です)
この歌も暗いです。
暗く悲しく美しく。あと「はかなさ」をつければ小椋ワールドです。
「そよ風は見えない 幸せも見えない (中略)
       いくつ春を数えても いくつ秋を数えても
                       二人で いたい」
歌詞だけ見れば、心中物語です。
しかし小椋佳の歌声に、そこまで重苦しいものはありません。
あくまで「はかなさ」がポイントなのです。


■屋根のない車

「砂漠の少年」と同じく、ドラマチックな歌です。
内容は、輝く鳥を見つけた男が、屋根のない車に乗って鳥を追いかけるものです。
何故、屋根のない車なのか突っ込んではいけません。
小椋佳のこだわりなのでしょう。我々凡人が知る由もないのです。
しかし、この曲はドラマチックに加え、熱血的に小椋佳は歌い上げてくれます。
特に最後の
「俺もいかなきゃ もう一度」
という辺りは、『燃えよペン』という漫画を思い出してしまいます。


■少しは私に愛を下さい

小椋佳はたまに女の人の立場に立った歌を歌ってくれます。
だいたいは悲恋ものです。
一番の出だしが
「少しは私に愛を下さい 全てを あなたに捧げた私だもの」
で、2番は
「たまには手紙を書いて下さい」
という出だしです。
どうでもいいですが、この女性は尽くしすぎです。
個人的には、
「一度も咲かずに 散っていきそうな バラが鏡に映っているわ」
という箇所が大好きです。
とても絵になる場面だと思います。


■この空の青さは

しおさいの詩・・・鬱
砂漠の少年 ・・・暗い
春の雨は〜 ・・・鬱
六月の雨  ・・・鬱
屋根のない車・・・熱血
少しは私に〜・・・鬱

ここまでこうくると、小椋佳は明るくて大らかな歌は歌えないんじゃないかと
そう思われますが、どっこい違います。
彼の引き出しは思った以上にまだまだ多いです。
先に述べたとおり、この曲は明るくて大らかな歌です。
空の青さが目に染むような歌です。


■この汽車は

「小椋佳はメロディーが明るい曲も歌詞が暗い、恐い」
これは知人N子が言った名言です。
まさにその通りです。
この曲はテンポも良く、一見明るい曲なんですが、歌詞を見ると恐いです。
「この汽車は 機関手がいない  終着駅まで 止まらない」
しかし、小椋佳が明るく歌っている以上、
これは彼にとって明るい曲なのでしょう。少々電波な歌詞に惑わされてはいけません。
深く考えてはいけないのです。
私もずっと明るい曲だと思っていました。
とにかくリズム感のある、良い曲なのは確かです。
余談ですが、ヘッドホンで聴くと
ハーモニカがそれはもう必死になって吹いているので
思わず笑ってしまいます。なので、ヘッドホンで聴かない方がオススメです。


■さらば青春

曲を聴くと、
どこが「さらば青春」なのかさっぱり分かりませんが、
とにかく良い曲です。
100人中100人が恐らく
「少女よ〜泣くのはお止め〜」
この箇所を褒めちぎるでしょう。まさに芸術です。


■うす紅色の

印象の薄い曲でした。
小椋佳はパステル色が強いのだなあと改めて思いました。


■大いなる旅路
「この空の青さは」と同じく、大らかで明るい、前向きな歌です。
一つ違う事といえば、この「大いなる旅路」の方が
少しばかり男性的な曲のように感じます。
「ほら めぐる旅路さ」
この“さ”という語尾がそう思わせるのでしょう。
歌い方もダイナミックで、曲の雄大さを盛り上げます。
珍しく小椋佳の男らしいところを見た思いがします。


■風車まわれ

はじめは静かな曲なのに、
徐々に切羽詰った、恐ろしい曲へと変わってゆきます。
風車が止まると大変な事が起こってしまう、
そんな感じです。
風車をまわす風の音、
どんな楽器を使っているのか分かりませんが
ものすごい高音でキュルルルルルルと鳴っていて、やっぱり恐いです。
ホラーだと思います。


■帰っちゃおうかな
久々に鬱の曲がきました。
テンポが速いとまでは思わないのですが、
リズム感の良い曲です。始めの方だけ聴くと、鬱な感じがしません。
「あなたの為に 抱いてきたバラ」を
みんなみんな「むしっちゃって」という辺りから、
場面が一転します。その後ずっと
「帰っちゃおうかな」のエンドレスです。
歌詞だけ見ると鬱ですが、
小椋さんは大変あ・かるめ(※)に歌っています。
思っているほど深刻な歌ではないのかもしれません。
※ファンシーダンスという漫画に出てきた、その作者による造語。


■想い出して下さい

出だしからリズム感のある、ノリの良い歌です。
この曲も、途中からやや曲調が変化します。
そこの盛り上がり方が、やはり、
ホラーです。
恐いけど、美しい感じがします。
半音上がった音っていうのは、居心地が悪いようで、
その実、癖になってしまう特性を持っていると思います。


■ほんの二つで死んでゆく

寝てしまいそうな曲です。





小椋佳U

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